研究所では試験片や製品の塗膜の初期評価&使用後(試験後)評価比較や、精密分析等を行うための 設備を保有しています。
物性評価
以下の一般機能評価では塗膜の接着性や難付着性などを評価します。
▶︎ 接着性
基材に対する塗膜の接着性を確認します。
描画試験、碁盤目試験、鉛筆ひっかき試験等があります。
描画試験
鋼針で塗膜を螺旋状に引っかき、塗膜の状態から接着性を判断します。
碁盤目試験
塗膜と基材の密着性を評価する試験方法です。基材に達する碁盤目状の切込みを入れた塗膜にセロハンテープを貼り付けて剥がし、切り込みの状態を観察して評価します。
鉛筆引っかき試験
塗膜を鉛筆で引っかき、傷のつき具合で塗膜の硬さを評価します。
SAICAS
塗膜の剥離強度とせん断強度を測定できます。
▶︎ 難付着性
あらゆる物質に対する塗膜の難付着性を測定します。(対テープ、対ホットケーキ、耐樹脂 等)
テープ離型試験
塗膜にセロテープを貼り付け、垂直に引き上げた時の剥離力を測定します。
ホットケーキミックスなどを使用した食品離型試験もあります。
食品離型試験
▶︎ はっ水、はつ油性
塗膜が水や油をどの程度はじくかを評価します。
接触角測定
水(又は油)を塗膜上に滴下し、塗膜面との接触角を測定します。
フッ素樹脂塗膜の水に対する接触角は通常110°です。
(参考:未処理金属表面50°、シリコーン塗膜90°)
接触角が大きいほど、はっ水性が良いと言えます。
その他の一般機能評価には膜厚測定、碁盤目試験があります。
摩擦摩耗試験
塗膜面の摩擦係数や耐摩耗性を評価します。
▶︎ 摩擦係数測定
回転や直線運動時の静摩擦係数、動摩擦係数を測定します。
ピンオンディスク式摩擦係数測定
塗膜にSUSピンにを乗せた状態で、荷重をかけ回転させた時の動摩擦係数を測定します。(最大荷重1kg)
▶︎ 摩耗試験
金属やゴム製の摩耗輪に対する耐摩耗性を評価します。
プレートオンリング式摩耗試験
SUSリング上に試験片を乗せ荷重をかけた状態で、リングを回転させて比摩耗量を測定します。(荷重5~50kg対応)
また、動摩擦係数も合わせて測定できます。
テーバー式摩耗試験
塗膜上にゴム砥石状の摩耗輪を乗せ回転させ、1000回転後の摩耗量を測定します。(荷重1kg)
その他の摩擦摩耗測定にはボールオン式摩擦係数測定、傾斜式静摩擦係数測定、落砂摩耗試験等があります。
環境試験
実際の使用環境を想定した塗膜の耐久試験を行います。
浸漬試験
95℃以上の水または水溶液に試験片を浸漬し、浸漬後の外観変化の確認と接着(付着)を評価します。
水、5%塩水、2.5%おでんの素水溶液等に浸漬します。
また、200℃の油に浸漬する試験も行えます。
塩水噴霧試験
槽内温度35℃、5%塩水噴霧の中に試験片をさらし外観変化の確認と接着(付着)を評価します。
その他の環境試験として薬品浸漬(酸、アルカリ、溶剤)があります。
山崎式ライニングテスター
実際のプラントでの温度差(熱勾配)の条件を忠実に再現することにより、実際の使用状況により近い耐食性試験を行えます。
分析
塗膜表面の状況や、成分の分析などを行います。
▶︎ 表面観察
走査型電子顕微鏡
塗膜表面の拡大観察を行います。
走査型電子顕微鏡 倍率×35~20000
マイクロスコープ 倍率×100~5000
また、塗膜表面の凹凸を観察できるレーザー顕微鏡もあります。
マイクロスコープ
▶︎ 塗膜の分析
FTIR(赤外分光光度計)
FTIRで塗膜や異物の成分分析を行います。
DSCやTGでガラス転移温度や非熱容量等の熱分析も行えます。
その他評価
エリクセン試験
試験片を半球状にプレスした時の塗膜の追従性や剥離などを評価します。(JISZ2247に準拠)
デュポン式衝撃試験
おもりを試験片に落下させ、変形に伴う塗膜の割れや剥がれを評価します。(JISK5600に準拠)
引張試験
試験片を引張塗膜の追従性を評価します。 ロードセル最大100kg